高さ10mを超える巨石が点在する笠置山。
南北に連なり、西を奈良盆地、東を伊賀盆地にわける笠置山地の北端に位置する笠置山。標高は289mと高山ではないですが、北に木津川、西に白砂川、東に布目川と三方を川に囲まれ、北に向けて船の先端に似た地形となっています。
笠置山の地質は「領家帯ジュラ紀白亜紀深成岩類」と言われ、いまから約1億年から1億5千万年前、地下10km〜15kmで作られた花崗岩が地表に現れて形作られたものだそうですが、木津川に沿って東西に走る「木津川断層」を境に北と南では大きく異なり、南の笠置山にだけ巨石が見られます。
この巨石が点在する独特の地形が、笠置山の信仰、「自然崇拝」「磐座(いわくら)信仰」を生み出したのです。
技術の進んだ現代に生きる私たちでも、そびえ立つ巨石を目の前にすると不思議さや自然の偉大さを感じ、厳かな気持ちとなるのですから、太古の人々であればいうまでもなく、弥生時代、この山に分け入った人々は、眼前の巨石に対して驚きと畏れ、頼りたいという感情に包まれ、弥勒磨崖仏の周辺より出土した「銅剣形 有樋式石剣(どうけんがた ゆうひしきせっけん)」が物語るように、信仰の対象として祭礼が行われたようです。
自然の持つ不可思議な力、これが笠置山・笠置寺のスタートなのです。

